私と妻の里では父や姉、義弟などが作った野菜をふんだんに使って、毎日調理場に立って親せき一同の食事作りに励んでいました。その中で、昔ながらの野菜の中に、モロッコ豆とかバナナピーマンとか、いろいろ新顔も混じっているのに時代の変化を感じました。
そんな一つにズッキーニがあります。この野菜に出会ったのはもう二十年も前になるでしょうか。近所の八百屋で教えてもらったのが最初だったと記憶しています。見た目から、ウリの仲間だと思ったら、ペポカボチャというカボチャの仲間なのだそうだ。カボチャもウリ科ではあるので、広い意味ではウリの仲間でもあるけどね。
実は、この仲間はスクウォッシュと呼ばれていて、いろいろ種類があり、形もさまざま。でも、日本では今のところ、店頭に並ぶのはズッキーニくらいのもんですね。
15年ほど前、借りた畑で実際に育てたことがある。種はホントにカボチャ系です。どころが、どんどん葉と茎が育ち、カボチャのようにツルが伸びるのではなく、茎から水平方向に実がドーンと伸びてくる。ちょうど人間の鼻がどんどん天狗の鼻になるような感じですね。放っておくとかなり大きくなる。
くせがなくて実に使いやすい野菜です。私の大好物のラタトゥユには欠かせない野菜だし、厚く輪切りにして塩をサッとして寝かせた後、焼いてもおいしいし、粉を付け、溶き卵をくぐらせてピカタのように焼いてもいい。トマトソースと合わせてパスタの具にも合います。

昔は緑のものが主流だったが、最近は黄色のものが目立つ。なんだかこっちの方がうまそうに見えるね。ピーマンが赤ばやりなのと似てるかな。最近は青空市などでもよく見かけるようになり、農村への進出ぶりがわかる。私の経験から、割と育てやすい野菜なのだと思う。
だけど、ズッキーニについては、おもしろい話がある。もう5、6年前のことだが、神石高原の青空市でズッキーニを見つけた。ところが、ヘチマかと思うほど大きいものが並んでいる。中で小さめの物を選んで買おうとすると、おばちゃんが「何でみんな小さいのから買うていくんかなあ」と聞く。いろいろ聞いてみると、農協で苗を買い、肥料をしっかり入れたらどんどん育った。それで嬉しくなってどんどん大きい実にした。でも、食べ方はよくわからんので、自分では食べずに市に出してみたのだそうだ。
「おばちゃん、これはキュウリくらいの長さが標準サイズやで」と言って、いろいろ食べ方を教えてあげると、おばちゃんは「そうやったんか!」と感嘆符を連発。うーむ、どんな野菜かも知らずに、とにかく育てること自体が目的になっている。ある意味、ずごい農家魂であります。
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よくあることですよ。
例えばうちの実家の婆ちゃん、
自分じゃ何一つ料理ができないので
(あの年で珍しいことですが)
メジャーな野菜以外の調理法は知らないはず。
(ゴーヤ、モロヘイヤ、パプリカなど。)
なのになぜ育てるのかというと、
ご近所付き合いとか農協のあっせんとかで、
なんとなーく作ってるようです。
うちの姉の義母も、ブロッコリーを砂糖と醤油で炊いた(!)、と言う話を姉がしてました。
田んぼのあぜに草が生えていることも、ご近所の手前、とても恥ずかしいそうです。それで、農家のお父さんは、夏場は毎週日曜日、草刈り機をふるうことになるんですね。