まさに地球の食卓を総巡りした本だ。世界24カ国30家族の1週間分の食材を、食卓にすべて出してもらい、家族と一緒に撮ったポートレートがずらりと並んでいる。
そこにはっきり浮かび上がってくるものは、極端なほどの格差である。先進国の食卓には、肉や各種の加工食品などが豊富に並び、色彩も実に豊かである。一方で、アフリカの難民キャンプでは、国連の機関が配布する、ごくわずかな穀物が唯一の命の綱だ。その総額も数百倍もの差がある。
一方で、米国など先進国の食卓には、意外に生鮮食品が少ないことに気付く。特に、その土地でとれたものを食べる、という生活からはかけ離れてしまっている実情もはっきりと浮かび上がる。さらに、発展途上国でもコーラなどの飲料や、各種の加工食品が深く静かに浸透している姿も写し出す。ものすごく情報量が多く、そして見るたびにいろんなことを考えさせてくれる、すごい本だ。
著者はアメリカの報道写真家ピーター・メンツェルさんと、ジャーナリストのフェイス・ダルージオさん夫婦。二人は同じ出版社から「地球家族」というシリーズの写真集を出し続けている。過去にも一家の家財道具をすべて外に並べてもらって撮影するなどの手法を使ってきた。このアイデア、世界の今を知るために、非常に有効な方法だ。
この内容、このデカさで2940円はかなり安い。版元は例のTOTOの文化事業部門。たぶん企業の社会貢献の意味もあるのだろう。続けてほしい企画です。
この本はおもしろそうだと感じたらひと押しを。
posted by 炎の料理人 at 14:10|
Comment(3)
|
TrackBack(0)
|
日記
|

|